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「The 4×4 of the Sea」。北欧の荒波の中で生まれた「Targa(タルガ)」は自らをそう評して憚らない。そのタルガが、日本で新たに「ウィンクレル」というパートナーを得て、本格参入することとなった。ヨーロッパの価値観で作られたこのボートは、我々のボーティングに果たしていかなる新たな世界を見せてくれるのか。秋も半ばに差し掛かった神奈川県・浦賀沖の海で、その真価を試した。

TARGA 27.1_4 気まぐれな秋の空に不安を抱きつつ今回のシートライアルの拠点シティマリーナヴェラシスに到着してみれば、軽く汗がにじむような小春日和だった。桟橋に舫われた今回の主役「タルガ 27.1」は、特徴的なワークボート的なスタイルが醸し出す落ち着いた雰囲気を持って我々を迎えてくれた。
 タルガ 27.1を製造する「ボートニア・マリーン(BOTNIA MARIN)」は、フィンランドの首都ヘルシンキから北西に400kmほどにある、ボスニア湾に面した地方都市マラックスに本拠地を構える。創業は1976年。創業者で現在も最高執行責任者の地位にあるヨハン・カルペランと、その一族が経営するファミリー企業だ。1980年代半ばにタルガ・シリーズを市場に投入して以降、ラインナップの拡充と共に着実に成長し、現在は2カ所のファクトリーで従業員数180名を誇る北欧屈指のボートメーカーとなっている。
 イタリア語で「盾」を意味する「タルガ」シリーズは、現在23フィートから44フィートまでの7艇種がラインナップされており、それら全てがワークボート風のデザインテイストで意匠統一が図られている。外観以外にもウォークアラウンドのデッキレイアウトや、アクセス性に優れたパイロットハウス、さらに高さの低いFBの作りなども全艇種に共通するもので、それらはタルガ・シリーズのアイデンティティとして確立されている。

TARGA 27.1_3 性能面での共通点を挙げると、メーカー自身が「The 4×4 of the sea」と表しアピールする凌波性、耐候性の高さは特質に値するもので、これについては筆者自身も過去にタルガ 25 MKⅡというモデルで深く実感している点だ。この様なタルガが持つタフさや信頼性の高さについては、イギリスを初めとするヨーロッパ各国において、警察や湾岸警備用のオフィシャル艇として採用されている実績からも窺い知ることができる。
 ボートを選ぶ際の判断基準として、インテリアがその決め手となることは希であろう。しかしこのタルガ 27.1の内装は、購入の理由とするに十分な魅力を持つものだ。パイロットハウス内のキャビネットやセンターテーブルなどにはチーク材がふんだんに使われており、それらのフィニッシュレベルは非常に高く、持つ者に高い満足感を与えることは間違いない。この様に嗜好性の高い高質なインテリアが実現できる理由は、ボートニア・マリーンがセールボートメーカーとして創業した史実と無関係ではなさそうだ。
 全幅3.04mと、30ft以下の小型艇としては広めのビームにより、デッキスペースには十分なゆとりがあり、専用のテーブルを設置すれば大勢でくつろぐことが可能だ。バウ及びスターンそれぞれに、ベンチやステップを兼ねた機能的なストレージも複数設置され、ロープやフェンダー類の保管に困ることはないであろう。両サイドにスライド式のドアが設けられたパイロットハウスと、大人が前を向いて無理なく歩くことが可能なウォークアラウンドの組み合わせに加え、我々の感覚からすると例外的に高さの低いFBの使い勝手は、特にシングルハンドで出港する機会が多いオーナーにとって、これ以上ない恩恵をもたらすものとなろう。

TARGA 27.1_2 出航前のチェックを終えて舫いを解き、浦賀沖に向う。出港時のデッドスロー域での舵効きも概ね良好で、オプション設定のバウスラスターと併せて、スマートな離着岸が可能だ。試乗艇はボルボペンタ D4-300を1基搭載。選択可能な5種類のパワーユニットの中で下から2番目に位置するものであるが、筆者の個人的感覚では必要十分以上の組み合わせであると感じられた。巡航速度30ノット時の燃費は40L/時間程度(メーカー公表値)で、3.9トンという重量を考慮するとかなり良好な値といえる。この船体であれば、より経済的なD4-260×1基も積極的な選択肢と成り得ると思われる。
 シートライアル当日の海象は、波風共にほぼゼロ。巡航速度域でのターンイン時の感覚はオンザレールそのもので、スターンのドリフトもほとんど感じることなく、狙ったラインをトレースする。流木などの危険回避を想定したステアリングの急激な切り返しにおいて見せる軽い身のこなしは、そのクラシカルな外観からはまったく想像し難いものだ。まだ慣らし中のパワーユニットであり、当日のリミットは3,400rpm。これで軽く33ノットを記録しており、エンジンの慣らしが終わりより高回転域が可能となれば35ノットオーバーは確実であろう。(続きは雑誌で)


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TARGA 27.1
全長 8.90 m
全幅 3.04 m
喫水 1.05 m
重量 3.9 ton
燃料タンク 520 L
清水タンク 65 L(オプション)
エンジン VOLVO PENTA D4 IPS400
最高出力 300 HP
エンジンバリエーション 1× D4-260(260 HP)
            1× D6-330(330 HP)
            1× D6-370(370 HP)
            2× D3-220(440 HP)
スピード Max 32-39 kt
■問い合わせ先
ウインクレル
TEL: 045-250-0377
http://www.wslc.co.jp/yacht/

text: Makoto Fujihara
photo: Kai Yukawa
special thanks: WINCKLER
http://www.wslc.co.jp/yacht/
[Perfect BOAT 2015年1月号掲載/]/※データは掲載時のものです]