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 英国海軍からチャーターヨットまで様々な船を渡り歩き、これまで30万海里以上にもなる航海経験をもつキャプテン・ナイジェル。現在はマイアミに居を構え、世界のトップセレブリティを相手にチャーターやコンサルティングを手がける彼が、独自のネットワークでつながるメガヨットの世界を紹介する。壮大かつ華麗な、メガヨットワールドをご堪能あれ。

ROSSINAVI_46m_2Ladies_2 もし、子供の頃からの大親友二人が、それぞれの妻のために1隻の46mのメガヨットを造船すると決めたらどうなるか? 友情の終わりか? 結婚生活の終わりか? それともただ単にトラブルの勃発か?
 ところがどっこい、ちゃんとしたプランニングと慎重な造船所選びによって、そのプロジェクトが大成功を収めることだってあるのだ!
 その造船所はイタリアのロッシナビだ。大型ヨットビルダーの分野においてはまだニュープレーヤー的存在だが(「2レディー」号はこの造船所では7隻目のメガヨットだ)、30年以上にわたってスチールやアルミの船体を製造し、大型ヨットのヤードに提供してきた。イタリアの造船業界でこれだけ長い実績があるだけに、自らがヨットビルダーに移行することは簡単なことだ。
 二人のプロジェクトに話を戻そう。このヨットを生み出す成功の鍵はもちろん、デザイナー、ヤード、オーナーのプロジェクトマネージメントチームによるコラボレーションだ。
 まず、二人のオーナー(と二人のワイフを喜ばせるためには)が必要としたものは、同じサイズの二つのマスターステートルームだ。これは、1室をメインデッキ、もう1室をブリッジ奥の上部デッキに設けることで一件落着。

ROSSINAVI_46m_2Ladies_3 この2家族は一緒にクルーズを楽しむこともあれば、別々の場合もあり、デザインとオペレーションに関する考慮はきわめて慎重に行われる必要があった。
 本来ならばこれよりも大型のヨットにしかフィーチャーされないものも、このヨットには備わっている。油圧式のドアがほぼ水面まで下りて大きなプラットフォームを作り出す「ビーチクラブ」、その奥のガレージスペース内にはサウナがある。フライブリッジまでの昇降が可能なエレベーター、メインデッキには最新の器機を揃えたジムに、もう一つのサウナ、フライブリッジにはハイドロマッサージ・プールまで設置されている。
 さらに重要なオペレーションフィーチャーの一つが、このサイズのヨットでは稀な、クルーエリアからゲストルーム、エンジンルームをつなぐ「隠れ通路」だ。これは、ゲスト乗船時にクルーの動きを効率的にするには非常に効果的なもので、主に55~60mの超大型ヨットに設置されている。
 これによって、ゲストの妨げになることなく、クルーは楽に業務をこなすことができる。マスターステートルームが2室あることからチャーターの要望も多く、オーナー達はこのヨットをチャーターに出すことに同意している。
 このヨットはオーナー達にとっては最初のヨットだったが、進水後はそのままクルーズに出ることが出来た。まるで新車を購入したときと同様にだ。皆さんもご存知だろうが、ヨットは車とは違い、度重なる試乗や修理・改装などが派生するのが常。しかし、このヨットにはそのケースは当てはまらなかった。
 その理由は、オーナー達が建造時に既にキャプテンを採用し、キャプテンもすぐにクルーを集め、プロジェクトマネージメントチームとしてこのヨットの建造から携わってきたからだ。建造中にこのヨットの操船・オペレーションにクルーが携わっているため、建造終了後の移行が迅速かつスムーズにいったのだ。

ROSSINAVI_46m_2Ladies_4 主機にはキャタピラーC32 Acertエンジンを2基搭載、燃料6万リットル、航行可能距離4,500マイル。12人のゲストに対し10人のクルーにキャプテンで、世界中どこにでも航海できるキャパシティーだ。しかも通常はより大型のサイズのヨットに搭載される最新鋭の機器が、この「2レディス」には搭載されている。様々なフィーチャーからも、このヨットはまるで70mクラスのヨットのよう……ただ違いは若干小さいだけだ。
 さて、また話は戻るが、二人の大親友がお互いの妻のために46mヨットを造船することを決めたらどうなるか?
 答えは、「正しいプランニング、適したビルダー、良いデザインにオーナーのプロジェクトマネージメントチーム、それに加えて経験豊富なクルーを建造中からプロジェクトに参加させると、問題も最低限に抑えられ素晴らしいヨットが出来上がる」ということだ!
 そして、クレイジーなことは、この二人のワイフ達は、なんと進水時に初めてこのヨットを見たということだ!
 この二人のオーナーにとって一番のチャレンジだったことは、造船・デザイン・ロジスティックスな面ではなく、いかに妻にバレないように2年間もこのプロジェクトを進めていくことだったのではないだろうか!


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photos: Sunseeker
text: Captain Nigel Beatty
PerfectBOAT 2013年10月号掲載/※データは掲載時のものです]

ROSSINAVI 46m “2 Ladies”

全長 46.30 m
全幅 8.62 m
喫水 2.80 m
重量 500 ton
構造 Steel hull / Aluminum superstructure
エンジン 2× CATERPILLAR C32 ACERT
出力 2× 970 kW(1,300 BHP)
スピード Max 15.5 kt
レンジ 4,500 NM at 12 kt
燃料容量 60,000 L
清水容量 10,000 L
オーナー&ゲスト 6 cabins for 12
ナーバルアーキテクト Mulder Design
エクステリア Mulder Design
インテリア Design Studio Spadolini
船級  Lloyd’s register 100 A1, SSC, Yacht, Mono G6, LMC.

Captain Nigel Beatty

 ナイジェル・ビーティー:1969年、英国ベッドフォード生まれ。高校卒業後、欧州放浪の旅に出る。その後、英国海軍に入隊。航海術や操船術などを学び、海軍ヘリコプターコントロール専門の管制官になる。5年後、バハマでスキューバダイビングのボートキャプテンとなるべく英国海軍を退役。1997年にヨット界に飛び込み、ヨットキャプテンとなる。英国MCA3000トンのキャプテンライセンスを所持。これまでにメガヨットのキャプテンとして、米国東海岸、バハマ、タークス・アンド・ケイコス、カリブ海、日本、中南米、地中海、インド洋、ペルシャ湾を航海し、航海経歴は30万海里以上におよぶ。現在、ヨットセールス、チャーター、コンサルティング、マリンパーツ販売を手がけるスーパーヨット・ロジスティックスを日本人妻と運営。プロジェクトマネージャー、テクニカルマネージャー、リフィットマネージャーとして数多くの新艇プロジェクトをも手がける。2008年、新人メガヨットキャプテンのインストラクターに就任。2009年には新キャプテン最終試験官に就任し、後輩キャプテンとなる生徒をビシビシと厳しく指導している。スコアはイマイチだが大のゴルフ好きで、2002年のワールド・キャプテン・ゴルフ・トーナメントでは栄誉ある「Wanker of the Year」を受賞。日本語を鋭意勉強中。日本語力は、まともな焼酎を注文したり、間違えずに電車に乗れるくらいに上達した。

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