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トヨタマリンのニューモデル「PONAM-31」の発表・試乗会が東京の京浜運河で開催された。そこに現れたのは、トヨタ自動車の舵を取る豊田章男社長。同じテーブルに座り、「意のままに操る感覚に驚いた」とPONAM-31のハンドリングを熱く語る。サプライズはそれだけではない。PVに登場し、クルージングを楽しむ姿が映し出された。「こんなに長い時間ボートに乗ったのは初めて」と、クルージング話に笑顔がこぼれる。豊田社長も惚れ込むトヨタの意欲作PONAM-31、はたしてその実力は。

TOYOTA PONAM-31_4 待ちわびていたトヨタマリンのニューモデル「ポーナム31」が発表された。初めて目にするポーナム31は、流麗な美しいスタイリングのボートという印象。トレンドを追いかけるだけの前衛的でモダンなデザインとは違う、均整のとれたスタイリング。だれもが美しいと感じる普遍的な造形美で見る者の心を掴む。
 ポーナム31は、発表前に知らされていた情報やシルエット、そしてサイズから、トヨタポーナムシリーズの中核をなすポーナム28シリーズの後継モデルではないか?と噂されていた。しかし、そこに現れたポーナム31は、ポーナム28とは明らかに違う存在感と、クラスを超えるボリューム感で我々を圧倒する。
 京浜運河のポンツーンからポーナム31のデッキに降り立つ。まず目にするのはスタンパルピットを兼ねたハンドレール。ポーナム28で好評のトランサムを利用した座面とハンドレールを背もたれにしたデッキチェアは31にも引き継がれた。自動車のスポイラーのようなスポーティーなハンドレールは、無機質なデッキの表情を美しいエクステリアに変える。
 ポーナム31を美しく見せているのは、高めのバウデッキから流れるように弧を描くガンネルとレーダーアーチが作る躍動感あるサイドビューだ。ポーナム28のスタイリングの特徴である低いブルワークにハンドレールという組み合わせは、ポーナム31ではハンドレールの無い高めのブルワークとなった。
 コックピット両サイドのブルワークは、膝より深く、流れるようにラウンドする。サイドウォークからバウデッキにつながるシアーラインは直線的。サイドウォークとバウデッキの高さが、船内の広さを生み出している。
 キャビンやフライブリッジのデザインも破綻は無い。フラッシュサーフェスなサイドウィンドウと傾斜したAピラーはスポーティーな造形を生む。レーダーアーチはフライブリッジと一体化され、流れるようなサイドビュー。フライブリッジのアウトラインを長く伸ばす事で、キャビンをロー&ワイドに見せている。雨や飛沫をよけるイーブスはレーダーアーチと一体化され、デザインを壊さない。そして、バウデッキはフラットでワイド。バウスプリットのないノーズは、エッジの効いたデザインをさらにシャープで美しくみせる。

TOYOTA PONAM-31_3 アフトデッキはポーナム28と同じ、エンジンルームのハッチを兼ねたデッキから一段下がりキャビンに入る。想像を超える広さ。全面に大型ウィンドウを使うことで、サロンは明るく開放的。ポーナム28はもちろん、過去に見た31フィートクラスのボートと比較しても広く明るい印象だ。
 インテリアもぬかりはない。対面式のダイネッティは、U字型ソファやベッドにも変形。無機質なヘルムシート、生活感のあるシンクや冷蔵庫も、木目のアクセントとミニマムなデザインでインテリアの一部となる。
 サロン前方のポートサイドにある前向きのナビゲーターシートは「進行方向の風景を見たい」という自然な欲求を満たしてくれる。また、国産艇では珍しい赤いファブリックは木目との相性も良く、ヨーロピアンサロンクルーザーの雰囲気を漂わせる。ディテールへの拘りやギミックがスペース効率を高め、広いキャビンをさらに広く、快適な空間にしている。
 フライブリッジに上がり、視認性のいいヘルムシートに着座し、スロットルを開く。トヨタ最新のコモンレール・ディーゼルエンジン M1KD-VHが、260PSのハイパワーをスタンドライブに伝える。
 M1KD-VHは、ポーナム28Ⅲにも搭載されていたM1KD-Vと同じ、直列4気筒2,982ccのコモンレール・ディーゼルターボエンジン。燃焼室、ターボ、インタークーラーを最適化、インジェクターの変更により、最大コモンレール圧力を180MPaから200MPaにアップ。燃焼パターンを最適化し、185PSから260PSまで出力を上げた。高出力を実現しつつ、低エミッション、低燃費、低振動、低騒音を達成したトヨタが誇る世界最高水準のクリーンディーゼルだ。
 260PS×2基のハイパワーを剛性の高いアルミハルが受け止め、スピードに変える。オートフラップが働き、ハンプもなく、最適な姿勢を保ち加速する。トップスピードもクラストップの38ノットをマークする。
 東京湾のチョッピーな波が襲う。その衝撃をアルミハルが吸収し、フレーム全体に分散させる。高剛性アルミフレーム構造はとにかく波に強い。また、FRPでは難しい高速走行中の衝撃音や波切り音、エンジンノイズを低減。フライブリッジはもちろん、キャビンの中にいても、高速走行時のエンジンや波の衝撃音は、普通に会話ができるレベルまで抑えられている。

TOYOTA PONAM-31_4 30ノットオーバーのスピードで舵を切る。正面、横、後方からの風やチョッピーな波を受け、全方位でターンを試みる。波や風の影響をほとんど受ける事なく、ハンドルの回転角、回転スピードに追従し、タイムラグなく旋回する。横流れをせずに、フライブリッジのヘルムシートを中心に旋回するセンターバランスは、ミッドシップのライトウェイトスポーツカーを運転しているようだ。レーシングドライバーでもある豊田章男社長が絶賛する「意のままのハンドリング」は真実であった。
 運河をスローで走る。低速時のふらつきや横揺れは少ない。行き足を止めた停止時の安定感も水準以上。アンカーリングでのボートステイも楽しいものになりそうだ。
 ポンツーンに近づいたところで、ジョイスティックを使い操縦する。今までのスタンドライブで使われているジョイスティックコントロールとは違う操作感。横に勢い良く吐き出す泡もなく、音も静かで、横揺れも少ない。違いはスタンドライブの方向を中立にしたままバウスラスターを利用するところ。他のジョイスティックコントロールはPODドライブのシステムからスタンドライブへ応用されたもので、スタンドライブがハの字に開き、前後進でコントロールする。しかし、スタンドライブはPODと同じほどの稼動域はない。2軸の間隔が狭い上に、力点が後方にある。構造的な問題で、PODドライブと同じようには効かないのだ。
 それに比べ、インボード用に開発した「TDA(トヨタドライブアシスト)」は、スタンドライブの方向を動かすことはない。力点は後方なので、インボードほど低回転でのレスポンスは望めないが、同じようにバウスラスターの補助が加わりインボード艇のTDAと同じ回頭性を発揮する。ポーナム35と比較すると劣るが、他のジョイスティックコントロールに比べればスムーズ。エンジン回転も低く、バーチャルアンカーの静止力や静寂性はスタンドライブのジョイスティックの中でトップレベルだ。
 人間工学を取り入れたインテリアデザインは、実際の容積差以上に広く、快適な印象を与え、意のままに操れるハンドリングは、高級サルーンでありながら、スポーツカーを操るような感覚。そして、操船支援システムTDAやTVASにより、スタンドライブ艇でありながら、ジョイスティックを使った平行移動や離着岸に加え、ボタン一つで、アンカーリングや流し釣りを可能とした。つまり、トヨタ「ポーナム31」は、スタンドライブ艇の中で最もイージードライブと、海における「FUN TO DRIVE」を叶えてくれるということだ。 P.B.(続きは雑誌で)

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TOYOTA PONAM-31
全長 10.57 m
全幅 3.20 m
総トン数 6.6 ton
燃料タンク 620 L
清水タンク 110 L
エンジン 2× M1KD-VH
最高出力 2× 260 PS
航行区域 沿海
本体価格 29,700,000 円(税別)
■問い合わせ先
問い合わせ先 トヨタマリン
TEL: 0120-532-451
http://www.toyota.co.jp/marine/

text: Yoshinari Furuya
photo: Kai Yukawa, Makoto Yamada
special thanks: TOYOTA MARINE
http://www.toyota.co.jp/marine/
[Perfect BOAT 2014年12月号掲載/]/※データは掲載時のものです]